汚泥のバイオマス利用

汚泥中に含まれる肥料成分の活用とCO2排出量の削減

生活排水を処理した時、副産物として、汚い泥と書く「汚泥」が発生します。この汚泥には、窒素4.6%、リン3.4%、加里0.5%もの肥料成分が含まれています。しかしながら、汚泥は臭く、その扱いが容易ではないため、バキューム車で搬出し、し尿処理施設で焼却処分を行っています。ちなみに、搬出時に1.73kgCO2/ km、焼却時に728.6kgCO2/tものCO2をばらまき続けているのです。

我々は、四日市市さんから委託を受け、農業集落排水施設(以下、農集施設)や浄化槽の維持管理と汚泥の収集運搬を生業としています。地域貢献、地球環境の観点からも汚泥という廃棄物系バイオマスに含まれている窒素(尿素)、リン、加里を循環利用していくことが必要と考えます。あわせて、国民一人一人が、CO2の排出量を減らしていく努力を惜しんではなりません。今、四日市市さんと共同で“みんなで作ろう四日市モデル”を合言葉に、農集施設から出る窒素、リン、加里を含む貴重な汚泥バイオマスを農地利用することにより、CO2排出量の削減と、資源循環型社会の形成を目指しています。

汚泥のバイオマス

ほぼ全量輸入している肥料
人の体は35の元素で出来上がっていますが、その内の6つの多量元素は酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リンです。1 日 1 人当たり約 1gのリンが必要で、日本の人口 1.27億 人に対して4.6 万t/年となります。食料を生産するためには更にその5倍のリンが必要とされ、わが国では120万t/年のリン鉱石を全て輸入に頼っています。ところが、私たちの身近にはリン鉱石の輸入量の約1割ものリンが含まれている下水汚泥があります。この汚泥からリンを抽出する試みが始まっていますが、コスト的な問題もあり、安易な輸入に頼り続けており本格的な普及に至っていません。