日本の農業を取り巻く環境

増え続ける耕作放棄地

日本の農業が抱える問題として、高齢化、農家の減少、耕作放棄地の増加、等々の言葉をよく耳にします。どれぐらいの耕作放棄地があるのか調べてみると、なんと富山県の面積(4247.61km²)とほぼ同じだそうです。農家には、販売農家38%、自給農家22%、農作物を栽培しない土地持ち農家40%のように、3種類の農家が存在します。土地持ち農家の増加に伴い、耕作放棄地も増え続けています。その理由は、農業従事者の高齢化による農家の減少です。減少に歯止めがかからなければ、耕作放棄地は今後さらに拡大していくことになります。農業はしんどい、儲からない、だから若い人達が参入してきません。原因を探ってみるとともに、我々が何をすべきかを考えてみました。

耕作放棄地

世界一高い日本の野菜

日本の野菜の多くは、断トツで世界一高いということをご存じでしょうか。
生産者支援推定PSE(Product Support Estimate)は世界5位の49%で、その支給額は年4.6兆円で世界3位です。PSEが49%ということは、年収1000万円の農家に対して、490万円の補助金が支払われています。その他に減反政策や関税により日本の農業が守られた半面、競争力が損なわれたのではないでしょうか。しかし、TPPやEPAが結ばれたことにより。今後、益々世界各地から安い農産物が輸入されます。

生産効率の低い日本の農業

前述のとおり、この50年間において、日本の農業は競争力を失うばかりではなく、農家の生産意欲までそがれてしまいました。一方、世界の国々は、農業をビジネスとして捉え、生産効率を向上させるため、様々な技術革新が行われています。その結果、日本の1haあたりの収量は、世界一生産効率が高いと言われているイスラエルの10分の1に陥っています。

日本の野菜は農薬漬け

中国から輸入されている上海早生という品種のニンニクは、3個で100円程度、日本で栽培された上海早生は、4.5倍の1個150円で売られているようです。何故、日本のニンニクは中国産の4.5倍でも売れるのだろうか。多くの消費者は、中国産の野菜は農薬漬けで怖いという先入観を持っており、何となく買い控えるという心理が働いているのではないでしょうか。実は、統計的にみると日本は中国、韓国と並んで世界トップクラスの農薬使用国であり、アメリカの6倍もの農薬を使っています。日本の野菜は安心安全というのは、先入観のほか何物でもないのです。

ほぼ全量輸入している肥料

人の体は 35 の元素で出来上がっているが、その内の 6つの多量元素は酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リンである。1 日 1 人当たり約 1gのリンが必要で、日本の人口 1.27億 人に対し 4.6 万t/年のリンが必要である。日本ではリン資源がないので、全て輸入に頼っている。食料を生産するためにはその 5 倍のリンが必要で、わが国では120 万t/年のリン鉱石が必要となる。我々の身近なところに、リン鉱石の輸入量の約1割ものリンが含まれている下水汚泥がある。この汚泥からリンを抽出する試みが始まっているが、コスト的な問題もさることながら、安易な輸入に頼り続けており本格的な普及に至っていない。